
利息制限法と貸金業法と出資法
ここでは法律自体を解説するのでなく、金利利息の計算の側から見た関係法律の解説に止めます。
利息制限法は、原型は明治時代に出来た古い法律です。戦後に今の形となり、幾度かの改正を受けて現在でも生きている法律です。しかしも、ここ数年注目を受けている法律でもあります。今まで貸金業者が行って来た商売のやり方からすれば、意味がない法律と言えました。
今現在貸金業者が行っている金利の上限は29.2パーセントです。高いのか安いのかは、微妙です。(改正され利息制限上限20%になりますが、まだ施行されていません。)
この低金利時代では高いといえますが、昭和40年50年代からすると異常に低金利と言えます。郵便局普通貯金を10年で貯金額が倍額になった金利時代普通の暮らしであった時代もあったのです。
昭和58年頃、「サラ金地獄」と社会現象になった時代がありました。このときの金利は100パーセントを超えておりました。
今からするとビックリしますが、そんなことはないのです。街にある質屋さんも100パーセントを超える金利です。それも数年前までの話です。平成の話ですよ。それによくテレビとかで聞く出資法の上限金利も100パーセントを超えています。ごく普通の話であった。
ですから闇雲(やみくも)にお金を借りることがなかったのです。せいぜい質屋さんを利用するぐらいでした。
貸付けてくれる金額が少ないから金利も100パーセント超えても数千円程度ですから、質草さえ流さなければ何とかなったのです。数万円程度の借金なら何とかなります。
今のように普通の人が数百万円も借りられることもなかったでしょうしね。個人が家を買ったりする場合を除いてそんなことに借金することはないですし、金利もまったく違うはずです。
昭和の時代バブル期前には銀行ですら利息制限を越えた金利で貸付けることもあったぐらいですから。もちろん、担保とって利息制限法を超える利息を抵当権など登記をすることはできません。あくまでも、抵当権まで利息制限法の制限にかかってます。
ここで利息制限法に触れておきます。
利息制限法(昭和29.5.15 法100)
利息制限法は、4つの条文から出来ている短い法律です。その利息の最高限は下記のとおりです。これらの利息を超えた場合は、超えた部分についてだけ無効となります。
元本が10万円未満(9万9999円以下)の場合
年2割(20%)
元本が10万以上100万円(99万9999円以下)未満の場合
年1割8分(18%)
元本が100万円以上の場合
年1割5分(15%)
元本とは、元金と言う方が分かり易いかも知れません。
最初に借りた金額、たとえば20万円であるとします。この場合、上記の区分から18%の利息が一番高い金利となります。低い場合でもいいのですが、通常金融業者から借りている金利利息(29.2%)はもっと高いですから、利息の引き直しをしますと最高限の18%になります。
一ヶ月経って返済します。返済の方法は色々ありますが、毎月1万円支払う契約になっていると、利息だけで4,200円(30日分)となります。残りは、元本に充当されます。
つまり、来月は20万円から5,800円が減って、この金額が194,200円に年18%の利息を計算します。来月に1万円支払うと利息分と元本の一部が減って、元本がまた少なくなって行きます。(賢い返済方法を見てください。)
この計算の元になる金額が元本です。この元本に利息も含めて計算すれば重利となり、法に触れます。
しかし、1ヶ月の利息に満たない金額を返済し続ければ、永久に元本は減りません。
また、返済が進んで、年18%で借りた利息は、元金が10万円を下回った場合でも、年20%に跳ね上ったりしません。ずっと借入の利用状況が変らない場合、利息は返済まで変りません。
かって私が起こした裁判で、当時京都の裁判所近くのN先生(イソ弁)は元本が減ると利息が上がるなどと言われてビックリしたことがあります。裁判官につっこまれていましたね。若気のいたりかもしれませんが、知らなかったのです。
悪気はなかったことは付け加えておきます。えらい弁護士先生は、サラ金業者からお金を借りて困ったことなどないのですから仕方がないかも知れません。
それに利息制限法の特徴に「賠償額の予定」があります。「損害金」という方が判り易いです。
改正前に利息の2倍まで認められていた賠償額の予定が、1.46倍になっています。貸金業者利息の上限29.2%に(=20%×1.46)合わしたことになります。ここの条文も短過ぎて曖昧さがあるように思えるのは自分自身の薄学のせいでしょうか?
貸金業法は大抵の場合、利息と損額金が同一もしくはその差は少なくに成っています。そのため、賠償額の予定があまり生きて来なかったと言えます。しかし、利息の1.46倍になる場合があるのですから、利息制限法では大きな違いがあります。
実は、ここが大変なポイントとなるのです。
貸金業法(昭和58.5.13 法32)
正式な名称「貸金業の規制等に関する法律」と貸金業は、その略称です。業者が適正な業務をする手続を定めてあります。この法律もの幾度となく改正されてきました。また、金利も上限金利もその都度改正されてきました。次のような金利の経緯があります。
貸金業法金利の経緯
年 109.5%(日歩30銭) (1983年10月31日以前)
年 73%(日歩20銭) (1983年11月1日から1986年10月31日まで)
年 54.75%(日歩15銭) (1986年11月1日から1991年10月31日まで)
年 40.004%(日歩10.96銭) (1991年11月1日以降)
年 29.2%(日歩8銭) (2000年6月1日以降)
金利も低金利時代を反映して異常に低くなっています。こうなれば業者もやっていけなくなることはよくわかるはずです。改正によって、すぐに利息制限法の上限年20%まで下がることは明らかになっています。
その後利息制限法自体の利息がまだ下がる可能性も含んでおります。今後貸金業者の数が激減し、大手数社と個人の街金業者の二極化が進んで行きます。銀行の再編と似ているかもしれません。
銀行系の消費者金融が大きく広告しています。審査は貸金業者のようにはいかず、審査の基準に達しない申込者が増えることでしょう。そうすれば、ヤミ金業者に走らないかが心配です。
金融業者の肩を持つつもりはありませんが、この金利規制の経過を見ると、どこが適正な金利か考える必要があるように思えます。利息の低金利傾向になっても、不良債権は変らず存在します。10人中1人焦げ付いたら利益どころか赤字に転じます。
借りる方にもモラルが問われます。貸金業者の存在も社会には必要です。無くなって困るのも利用者です。今後政治がより良き方に進んで行くことを期待したいものです。
出資法(昭和29.6.23 法195)
出資法という言葉をよく新聞やテレビで見かけます。正式名称は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」、その略称が出資法です。
たった10条しかありません。
高金利についての処罰が定められています。ただし、貸金業者に対する特例と上限金利が定められています。この中に日賦貸金業者について特例というのもあります。
正確には日賦貸金業者は、普通の貸金業者とは違います。「日賦」業者とか「日掛金融」といわれています。
通常の個人の貸付でなく、商売をするための目的に貸付けています。多くの場合、個人商店や個人経営の会社などと考えると分り易いです。
しかし、違うのは貸付けの金利です。最近の2000年まで貸出上限金利が109.5%でした。時代劇じゃないです。平成の時代の話です。質屋さんも同等の金利でしたからそれにも驚きます。
貸金業法には、貸金業の規制等に関する法律という法律で色々と規制を受けることがあります。
2000年に貸金業(日掛金融)の貸出上限金利を年率109.5%から54.75%に引き下げられました。
あとは貸金業者と同等の金利の上限金利になっています。しかし、特例が認められて、現在は年54.75%が上限金利の適用が認められています。
「日掛金融」というのは、すこし特殊なんです。また、業務内容が限定されています。
まず、通常の個人でなく、政府(内閣府令)が定めた小規模な商売用に限られています。つぎに、返済期間が100日以上であること。最後に、返済金を返済期間の半分の日数以上を借主の商売している場所や家に行って、毎日「日掛金融」業者が集金する必要があるんです。
ちょっと手間がかかるので金利も少し高いようになっています。業者にとっては夜逃げされないためにも必要かもしれません。
不良債権になるリスクも当然高い。
たまにしか行かなかったラーメン屋がなくなっている事もよくあります。毎日集金に行けば、商売の状態とかいろんなこともおのずと分かります。もちろん、集金はパートの従業員さんでもいいです。この方法以外では業務をすることは出来ないことになっています。
見たことがないという方もおいでかも知れませんが、バスの待合のイスとかに広告をされているのもよく見ます。
こちらも借主の商売が「日掛金融」業者によって成功した人も多数おいでのはずです。資金繰りに困ることはよくありますし、銀行などより気楽に困ったときに助けてくれるという意味では必要な存在だと思います。
ただ使い方を間違えるとトラブルになることをよくよく考えた上で利用する覚悟は必要です。
「日掛金融」業者や小規模な貸金業者は、銀行から借入れて貸付けている場合ではありません。大手はそうやっていけますが、小規模でしたら自己の資金を貸付けています。
友人にお金を貸して返してくれなかったり、電話すれども連絡がつかなかったり、逆に逆ギレされる始末を一度や二度経験があるはずです。まさに業者にとっても同様です。「盗人」「ドロボウー」と言いたい気分でしょう。かといって法に触れることをしてゆるされるはずもありません。
でも原因ははっきりとしています。
借りたら返す。人としてのモラルです。
利息制限法利息に引き直しても借金があれば、逆にそれだけは支払わなければならない義務が生じます。利息制限法利息に引き直した裁判になっても安くなる場合がある反面、残金があれば逆に支払義務が裁判で発生します。それにより、支払いが滞れば一括返済を求められる場合もあります。
くれぐれも引き直すことによって、極端に借金が減ったり、必ず返還金が戻ってくると言うことは言えないのです。
まずは、今の借金が法律的にどれだけになっているのかを自分自身が把握することが、もっとも大切で問題解決への早道であることを最後に述べておきいます。
弊社がお手伝いします。